施設における感染対策の効果

2024年09月01日

水際対策;面会時間の制限など

効果;当施設では面会制限は行わなかった。家族等の面会は以前よりは自粛の要素があり減ったが、感染の蔓延が続くとか、感染者が他の施設と比べて多いということはなかった。

 

隔離政策;感染者に対しスタッフは防護服などを着用。非感染者も室内に隔離。常に食事時は黙食、ついたて、等で隔離。

効果;当施設ではマスクの着用(任意)のみを行った。一時期最大で4,5人の発熱者(44人中)が出た時期はあった。無理な隔離政策はとらず、非発熱者は通常通りの生活を行った。当然食事中も楽しく会話。他の施設が10-20人近く一度に発症していた時期でも当施設ではいつもと変りなく生活していただいた。

ワクチン;当時入居していた方は家族希望で数名接種、その他の方は未接種。他の施設では強制的に3回接種した。

効果;感染の蔓延どころか重症化の予防にも貢献していなかった。某施設では接種後に少なくとも3人は急激に状態が悪化し死亡した。

 

定期的抗原検査;スタッフ管理のため発熱時に抗原検査、治癒判定のための検査。

答え;当施設では特に検査は行わなかった。発熱時は休み、解熱後に出勤という体制で臨み、混乱は起きなかった。スタッフの精神的疲労は最小限に留まった。他の施設との差は歴然だった

院長のひとり言

当院では自施設以外に9施設の健康管理を行っている。この4年間で全施設にコロナが蔓延し少なからずの人がお亡くなりになった。感染対策の名のもと利用者は室内に閉じ込められ、食事はドアもとにポン。まるで収容所のようだった。空気も殺伐としていた。一方自施設である我が家は蔓延時にも通常と変わりない生活を行った。運動会までした。日常生活の重要性をあらためて実感した。

 

 

 

理性(数字)は高齢者にとって必要か?

2024年08月09日

質問;規則正しい生活をするのは良いことだと思いますが?

答え;自分の身体の声を聴いたうえでの規則正しい(時間通りの)生活は大切です。しかし例えば老人ホームなどでは、ホームが決めた時間通りに生活させられます。自分のリズムと異なると大変になります。

 

質問;1日の摂取カロリーを決めしっかり食べることはどうですか?

答え;例えば1日1200Kcalと決めたとして、いつか必ず、食べられなくなる時が来ます。ですから今から、決めた量を食べるのではなく、心地よく、おいしく食べられるだけ食べるという習慣に切り替えたほうが良いのです。

質問;血圧は健康の指標になりますか?

答え;なりません。高いから危険だと思われる方が多いですが、違います。落ち着けば大多数の人の血圧は下がります。さらに高齢の方で元気な方は血圧が高めの人が多いですね。

 

質問;健康診断ですべての数値が正常範囲内です。

答え;安心材料の一つにはなります。しかし長生きの指標にはなりません。数値が正常であるかよりも、おいしく食べられて、ちゃんと便が出て、気持ちが健やか、の指標を大切にしてください。

 

院長のひとり言

今の社会ってかなりの部分が数値化されています。学力は偏差値、運動能力も数値化、社会人生活では売り上げにどれだけ貢献したかで数値化、健康診断すればすべて平均に入らないといけない。ところで我々が機械と違うところ、心の部分はどうなのでしょう?心、気持ち、気分、は数値化できません。心がないがしろにされているから数値が良くても心地よくないのではないかと思う今日この頃です

 

 

熱中症とは

2024年07月01日

定義;高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節 機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します・・厚生労働省ホームページより抜粋

 

質問;暑い日外に出てしばらくすると頭が痛くなり、ぼーとしてきます。体温は正常。これは熱中症ですか?

答え;上の定義からすると・・違います。暑さに対しての適応障害ですね。日射病疑い、暑気あたり、と言えばよいですかね。

 

質問;なんでもかんでも「熱中症」としてはいけないのですか?

答え;そう思います。軽症から重症まで同じ熱中症では、みな重症の熱中症を連想してしまい怖がってすぐ救急車をよぶようになります。軽症のうちに自身で対処することをしないといけない

質問;では危険な兆候とはなんですか?

答え;呼びかけても あーうーは言うがちゃんと返事しない

汗が異常に出ていて、赤ら顔、息遣いも荒い

体温が非常に高い・・38度以上とか

 

質問;上記のようにならないための対処方法教えてください

答え;直射を避けて、頭冷やして、水のませて、うちわあおいで、話しかけて、それでも改善しない場合は救急要請をお願いします。

虹は七色と我々は当然思っていると思いますが民族によっては3色のところもあり、逆に9色を色分ける民族もあるそうです。これは色に対する言葉があるということです。色を分けられる言葉あるということが大事だと。現象に対する言葉が細かくあれば、使い分けられるということです。翻って熱中症に関して軽度から重度まで同じ言葉でくくると、分類する能力が低下して重症者を見分けられなくなる恐れがあります。もっと細かく分類してほしいなと思います。

 

 

臨床医の肌感覚 最近変わった事

2024年06月06日

現象1;帯状疱疹になる人が増えた。

解説;テレビ報道でも何度も取り上げられましたね。そもそも帯状疱疹って人の免疫力が低下すると出てくるものですが、これが流行るってどういうことなのでしょうか?国民全体の免疫力が低下したということです。

 

現象2;癌になる人が増えた。

解説;当院に通院されている、健診を含めて、方たちのなかで毎年一定の割合で癌を患う人はいましたが、ここ最近は「え、あなたも」「え。あの人も」と明らかに増えました。

 

現象3;血栓症(血の塊ができて詰まる)になる人が増えた。

解説;いままで血栓症になる(症状が明らかに出る)人って開業医がお目にかかることはまずなかった。しかし最近のある時期から激増した。脳梗塞、脳出血の方も増えましたね。

 

現象4;急速に老衰が進行して亡くなる人が増えた。

解説;老衰って基本的にはゆっくりすすんでいくものでした。今までは。しかし最近は、ある時期から急激に全身状態の低下が進行し亡くなる人(老衰が急激に進行する)が増えた。

 

開業医の肌感覚は敏感です

 

私は訪問診療をしています。車を走らせて、患者さんのいる家を訪問します。その道中は町の風景を眺めながら行くことになりますが、最近、目についたことがあります。若くして麻痺を患い、リハビリ?で道々を歩いている人をちょくちょく見かけます。驚きなのは、乳母車を扱いながら自分も片麻痺状態で歩いている母親の姿を観た時です。これはおかしい。

 


 

薬についてあれやこれや・・vol 2

2024年05月01日

質問;ウイルス感染(コロナ、インフル等)にカロナール等の解熱剤を使用すると早く治りますか?

答え;熱は下がることはあります。しかし解熱剤で下げた熱は治ったことにはなりません。熱を出してウイルスを退治する身体の反応を一時休止しているだけなのです。ウイルスが生きていればまた熱は出ます。

 

質問;たくさん薬を飲む、気軽に飲む、ことが何故怖いのですか?

答え;例えば薬による副作用が疑われた場合、たくさん飲んでいると、どれが原因薬剤なのかがわかりません、最後に追加された薬は一番疑わしいですが、長年内服している薬でも突然薬害がでることもあります。また飲み合わせで効果が減弱、長期の服用での身体への影響も心配されます。

 

質問;具体例をあげてもらっても良いですか

答え;例えば、ある種の胃薬を長期に服用すると肺炎のリスクが高くなることが解っています。

高脂血症の薬で免疫力が落ちる可能性があります。

タミフル(抗インフル薬)飲むと突然死の危険度が増す。

抗がん剤の効果?延命するどころか副作用で苦しむ、寿命がかえって縮まる恐れすらあります。

ある種の降圧薬の中に発がん作用が認められています。

などなど

 

私は薬嫌いと言われます。その噂は否定しません。しかし薬を出さない=薬が嫌い、という訳ではありません。薬をしっかり吟味し、ここぞというときにしっかり使う、それも合わせ技(いろんな薬を混ぜて使う)ではなく一本を決めに行く、そんな気持ちです。タイミングが合えば一本決めで拍手喝采、外せば避難轟轟。しかし今は薬より効くもの・・「大丈夫だよ」の言霊の方を磨いています。

 

 

老衰(老化の極み)について

2024年04月08日

質問;老衰とはどういう状態の事を言いますか?

答え;年を重ねていくにつれて身体の機能は低下します。この身体機能の低下がバランスよく全体的に低下していった極を老衰と言います。人の寿命が最期を迎える、「死」に向かう過程と捉えることもできます。

 

質問;老化はいつから始まりますか?

答え; 体の機能は20歳ごろをピークに成長し、それ以降は徐々に衰えていくと言われています。個人差はありますが70歳後半ぐらいから目立つ人が多いですね。

 

質問;具体的な老衰の兆候はどんなものですか?

答え;大きく分けて以下のことが特徴です。

1;食事量が減る。食べても痩せてくる。

2;周囲に無関心になる。寝る時間が増える

 

質問;老衰は病気ですか?

答え;老化は病気であると捉え、老化を予防する研究は多数あります。

しかし未だに寿命があり120歳時代が来るとは言われていますが、では120歳の方はどうやって亡くなるのでしょうか?

 

完璧に予防出来たら・・人間は死なない・・オカルトですね

老化は自然現象であると捉えるのが自然ですね


「食べなければ死んでしまう」「食べれば元気になる」って本当でしょうか?一見、本当のように思えますが、実は特に老衰状態にある場合は「死ぬ方向に身体が向かっているから食べなくなる」「身体が元気になりたいと欲していれば食べたくなる」が正解です。だから特に人間の終末においては外から入れる栄養は使えなくなり、自分の肉を燃やしてエネルギーを使います。その結果痩せてきて、枯れていく、これが自然の摂理です。


 

高齢者の「自立」とは ~施設に入れられないために~

2024年03月01日

質問;施設に入る、入れられてしまう原因はなんですか・・?

 

答え;原因その1 病院に入院する。

入院して原因となる疾患が治ったとしても、寝たきり、歩行にも介助が必要、認知症の進行、等により家に帰れなくなります。家にいて治れば家に居られます。

答え;原因その2 排尿、排便の失敗

誰もがトイレに自分で行って用を足したい、という欲求はあります。しかし、おもらしの頻度が増える、途中で転ぶ回数が増えると皆からおむつを勧められます。「嫌だ」と拒否すると、途中で転んで、便、尿まみれになったところを家族に発見され、緊張の糸が切れます。「もう無理、施設だ」と。歩くのが不安定なら、這って、四つん這いでトイレに行きましょう。

答え;原因その3 電話(呼び出しコール)攻勢

家族に電話をかけ、「あそこに連れていけ(トイレも)、あれもってこい、さびしいよ、」等で四六時中電話を掛けすぎると、「もう無理」と思われます。

答え;原因その4 今までやってきた習慣に固執する。

朝は何時に起き、食事は3食、日中の過ごし方、夜はしっかり寝る、等。身体に合わせて変えていかないとなりません。


院長のひとり言

住み慣れた自宅に居たい気持ち、当然です。しかし家族、特に子供さんたちに負担をかけすぎてもいけません。さあどうするか、自分で何とかするしかありません。そのためには今までやってきた習慣、環境を自分の今の身体に合わせていく必要があります。元に戻ろうとする意向が強い(頑張り屋さん)、その気持ちは大切ですが、それに固執する結果、施設行きが早まることもあります。どこかで何かを諦める気持ちも大切ですね。

 

「血圧」の基準とはなにか?

2024年02月01日

質問;そもそも血圧とはなんですか?

答え;血圧とは心臓の力に血管の抵抗を掛けたものです。心臓の力、血管の抵抗は、自身の自立神経にかなり影響されます。ですからご自身の血圧の基準値を知りたいなら極力自律神経の影響を排除しないといけません。怒ったり、気合入れたり、力を入れたりすると血圧が上がってしますので。

質問;具体的にどうすれば?

答え;血圧を測る前におおよそ30分ぐらい椅子に座って、なにも考えず、ぼーとして過ごしていただきその後に測定します。1回目は高く出がちなので何回か測り一番低い数値をその時の値とします。

感想;忙しい昨今、そんな暇はありません。

答え;忙しい時、特に朝のバタバタしている時間帯に測ること、それは自律神経が興奮しているということなので高くなりがちですね。我々の求めているものはその人の一番低い基準となる血圧の数値です。それが高いか低いかが問題なのです。動いた時の血圧ではないのです。

 

質問;出社時、デイサービスに行くとき、医者にかかるとき、測られますが?

答え;安静時のご自身の規準となる数値を知る、ということではないので意味はほとんどありませんね。


院長のひとり言

何かご自身の身体に不調が起きると、その原因が血圧のせいだ、と言われることがよくあります。例えばめまいが起きたのは血圧のせいだ、頭が痛いのは血圧のせいだ、調子が悪いのは血圧のせいだ、と。しかし事実は逆です。頭痛、調子の悪さが発生すると、自律神経が興奮して血圧が上がるのです。夫婦喧嘩をすると血圧は上がります。夫婦喧嘩の原因は血圧のせいではないですよね。

 

「風邪の予防」について

2024年01月01日

質問;先生は何故コロナにもインフルにも罹らないのですか?

答え;インフルで最後に熱が出たのは15.6年前ですかね。コロナには実は2019年以前に、いわゆる新型と言われる前におそらく罹りました。しばらく味覚がありませんでしたから。

質問;風邪の人を診察してるのに何故罹らないのですか?

答え; 理由は、「いっぱい接しているから」です。私も開業当時はすぐに風邪をもらっていましたが年数が経つと罹らなくなりました。昔の開業医の先生は皆同じ事を言っていましたね。

質問;まだ納得ができません。

答え;自分のお子さんはどうでしたか?小さい頃はよく熱を出していましたが、大人になるにつれ風邪をひきにくくなってきませんでしたか?いっぱい罹って、それで強くなるのです。これがいわゆる免疫ができるということです。

 

質問;でもいつかは罹る?

答え;風邪のウイルスは変異するものが多いので、おそらくいつかはまた罹るでしょう。

 

うがい、手洗いなどは常識的には有効とされています。しかしもっと大事なことは罹らないための身体の維持(疲れすぎない、睡眠をしっかりとる)です。

院長のひとり言

タミフルなどの抗インフルエンザ薬が出来て、大量に処方され始めて暫く経った頃にすごい事件が起きました。それは学校保健法のインフルエンザに関する規定が改定されました。それまでは解熱後2日で登校可能でしたが、熱が下がっても最低5日間は登校できなくなる方向に改定されました。これの意味はなにか?抗インフル薬が大量に消費された結果インフルの治りが遅くなったということではないでしょうか?


 

風邪についての基本常識

2023年12月01日

質問;風邪をひいたと思ったらすぐに薬を飲みたくなりますが。

答え;人情としては理解できます。しかし西洋薬に関しては治す効能はありません。症状を軽くする可能性のみです。解熱剤に関して言えば治癒をおそくさせてしまう可能性すらあります。

 

質問:ではどうすればよいですか?

答え;風邪は自分の免疫でしか治せません(重要)。だから風邪ひいたと思ったら、身体を温かくして、ゆっくり床で休んでください。熱がある場合は頭を冷やしてください。熱が高くても心配はいりません。肺炎など心配ならご一報ください。

質問;原因ウイルスを診断する必要がありますか?

答え;当院的にはあまり重要視はしていません。診断してもそれに対して有効な薬はない(これには異論があると思いますが)からです。学校が、会社が、と社会的に求められる事がありますが別途相談に応じます。

 

質問;もし薬が欲しいと言われたら

答え;漢方薬をお出しします。漢方がダメな方は西洋薬で症状に合わせてだします。

 

解説;風邪とはウイルスが原因による上気道感染症の総称。原因ウイルスにはインフルエンザ、昨今ならコロナ、RS、その他多数あります。

 

院長のひとり言

インフルエンザはタミフルなどの薬を飲まないと治らない、と信じている人が意外とたくさんいることに非常に懸念を抱いています。ついこないだも40代の母親に真顔でびっくりされました。だから必死になって診断にこだわっているのだなと感じました。ここは基本に立ち返っていかないといけないなと痛感しました。