医療の方向性

2016年09月01日

質問;医療の方向性とは何ですか???

答え;一つの方向性は 救命、延命を目指す医療です。限りなく「生を追求」します。例えば癌が見つかったら、癌と闘い勝つことを目標にさまざまな治療をします。検査、入院、手術など苦痛を伴う治療も含めて積極的に病気と闘います。いわゆる闘病生活が始まります。皆さまが一般的に思っている医療とはこのことです。

 

質問;ではもう一方の医療の方向性とはなんですか??

答え;死を到達点と受け止め、残された時間の「生活の質」を重点に置く医療、生活・・積極的な医療ではなく痛みを取るなどのいわゆる緩和ケアと呼ばれる医療です。緩和ケアは生活の質を優先します。残っている時間(最期の時間)を自分のやりたいことに使い過ごしていただきます。闘病生活の割合は薄まります。

 

質問;具体的にはどうするのですか?

答え;好きな物を好きなだけ食べる、ゆっくりと自分のしたいことをする。自分の人生の軌跡を回顧する。周りに感謝する。医療的には痛みや不快感を取り除く、検査や薬や通院も最小限にするなどです。

質問;今、どちらか決めなければいけないのですか?

答え;いや、常に両方の考え方を念頭に置き、時が来たら、「えいやっ」と、どちらかに決めてください・・・。

 

鈍平さんの物語です。彼は現在95歳。去年まで約40年以上毎年、某有名病院で健康診断を受けていました。様々な専門家の外来にも通院していました。彼は専門家の先生にいつも確認していました。「僕は何の病気で死にますか?」と。毎年答えは各専門家先生の専門とする「病気だったらうちに来なさい」と。しかし今年とうとう健康診断を止めました。現在、食事量は減り、寝ている時間が増えてきました。私と会うといつも握手しながら話します。「僕は老衰かな」「そのようです」 実話