点滴の利点、欠点
2018年04月13日
質問;救急車で運ばれるとすぐに点滴をするのはなぜですか?
答え;生命維持に直結する循環動態(血管を流れる血液量やその流れる力を調節する)を安定、維持させるためです。また薬剤などをすぐに身体に入れるための場所を確保する意味もあります。
例えば出血多量で運ばれたとき、すぐには輸血ができないので輸血までの時間に塩水が主の点滴をして血圧などを維持させる、等々。
質問;食べられなくなると点滴をするのはなぜですか?
答え;食べられないと脱水状態になるので脱水を改善させるために点滴をします。栄養を本格的に点滴で補う場合には太い血管から特別な点滴が必要です。(中心静脈栄養と言う)
質問;点滴の欠点はなんですか?
答え;浮腫みや痰の量が増える事です。栄養状態が低下している時、特に老人や癌の終末期においては、身体に水分を回す力が極端に低下するので過度に点滴をすると、肺やお腹、皮膚などに水分が溜まり、また余計な水分が痰としてあがってくるので身体を余計に痛め苦しめます。痰の吸引は辛いです。
質問;終末期においても病院では必ずしますよね?
答え;生命維持、延命のためには必要との考えからです。しかし負担のことを考えると終末期にはしない方が良いと思います。私はその立場です。浮腫みの辛さは皆さまの想像よりはるかに辛いです。
衰弱がすすんだ方に「点滴をしない」と言うと「なんにもしてくれないのか」との批判を受ける事があります。点滴の利点、欠点を考えると終末期に点滴をする欠点の方が大きいのは明らかです。眠い時に針を刺され、管のことを常に意識するストレス、浮腫みや痰の多さに辛さが倍増します。辛くて苦しいけれど点滴をして延命するか、点滴をせずに穏やかに過ごすか、答えは明らかかな、と思います。