ある癌患者さんの食事物語

2023年02月15日

患者さん:私は胃癌を患って、現在緩和医療に移行中です。1日で高カロリー輸液1-1.5L入れています。口からは採れなくなりました。痰が多いです。

私;身体に水分(栄養を含めた)が相対的に多く入ると、痰が上がってきて、浮腫みが出たりしだします。胃腸も浮腫むので口から水捕れなくなります。実際に顔は浮腫み、お腹もタプタプしていましたね。

 

患者さん;病院の管理栄養士、看護師からは「もっと栄養採らなくてはいけません、量を増やしてください」と言われて増やしたのですが。

私;結論、それは間違いでしたね。量増やしても体が受け付けなくなっていますよね。浮腫、痰が証拠です。勇気をもって点滴を減らすことをお勧めします。

 

この話の1か月後

 

患者さん;点滴減らしました。アイス、水分、わずかの固形物採れるようになりました。便も細いながらも形ある便が自然にでました。

解説;その人その人で身体に入れられる水分量は違います。身体変化に応じて変化、特に人生の最期の方に行くと、少なくなります。たくさん入れようとする努力は、気持ちは解りますが、結局自分の身体に負担をかけ、苦しめます。

 

最近、野菜炒めをよく食べるのですがふと気づいたことがあります。皿一杯食べておなかいっぱいになるのですが、この野菜、乾燥させたらほんのわずかの固形物であとは水分だよねって。我々一般的に気にするのは、蛋白、脂質、糖分、ミネラルですがボリュームで言えばほとんどが水分、そういえば人間の身体の約8割は水分、だから栄養で一番大切なのは・・分だってことではないかと思うのです

 

食べれば元気になるか?

2023年01月15日

質問:体調が悪い時などによく「食べないと元気が出ないから食べなさい」とよく言われますが本当ですか?

答え;結論です。それは間違っています。話が逆です。食べたいと体が食物、水分を欲するようになり、そして元気になって行くのです。身体が欲さないのに食事をしても、余力がある人は消化されますが、余力がない人は吐くか、下すか、苦痛を伴います。

 

現象;食べれば元気になる?と信じている方へ。試しに今日早速いつ

もの食事量の倍の量を食べてください。そして倍働いて下さい。

解説;「そんなの無理無理」と返ってきます。

 

質問;病院などから退院時に1200カロリーは採ってくださいと指導されます。

解説;それは教科書に書いてあるからです。あれはおそらく健康な方の基礎代謝量から導きだされていると思われます。しかし衰弱した高齢者、癌などを患っている方には当てはまりません。

 

質問;では我々の必要な栄養はどうやって決まりますか。

答え;人それぞれ必要カロリーは異なります。一番の目安は自分が欲する物、量は自分の身体でしか解らない、どんなに少ない量でもお腹がいっぱいになる手前が最適量になるかと思います。癌の終末期の方などは顕著にそれが現れます。必要以上に入れると、浮腫み、下痢、痰がでて辛くなります。そして自分の肉をエネルギーに変えていくので痩せていきます。

 

点滴をすれば元気なる。それは事実ですが、これには条件があります。身体が脱水状態で、水分を入れると身体にそれが巡り、尿となって排出されれば、点滴に価値はあります。しかし身体が水を処理できない状態で水を入れると、身体が浮腫み、腹水、胸水、腸管も浮腫み、そして水が飲めなくなります。その時は点滴を絞る、ないしは中止すべきです。僕も病院勤務時代はそれでも生命を維持するにはしょうがないと思っていました。しかし今は違います。身体に苦痛のない終末期をいっぱい診させてもらったので