熱中症

2013年09月03日

質問;テレビでは熱中症にならないように水分を摂れと放映してますが、実際なかなか水分を取ってくれません・・。(家族の談)

答え;確かに水分補給は大切ですが、暑さ対策、風通しをよくする、室温を管理する、等のほうが大切です。高齢者は基本的に、体の必要水分量は若い人より少ない、また汗をかき過ぎることは少ないので、ご家族が期待されるように水分を取らないのが一般的です。

 

質問;冷房を嫌います。

答え;冷房の冷気はかなり高齢者の深部に到達し不快を与えるようです。可能であれば直接冷気を当てないように、風は自然な風が理想です。真夏なのにコタツに入っている方もいます。ちょっとビックリ。

 

質問;熱中症対策は?

答え;体温が37度以上になって、少し元気がないなと感じたら、保冷剤などをタオルに巻いてで首の後ろ、わきの下、太ももの付け根などを冷やす、そして水分補給(口から無理な場合は点滴)です。

 

質問;命に関わる状態の目安はなんですか?

答え;体温が上がる(39度以上)、意識が薄れる(呼びかけても応じない)などです。意識がしっかりしていて、体温が37度程度であれば安心です。

 

テレビや雑誌、ネットなどで情報が溢れているお蔭で病気に対しての知識もかなり普及し、情報に振り回され自己判断して心配している方が多くなりました。しかし、テレビなどは小さい事を大げさに言って視聴率をあげるのです。私は病気を専門的に勉強し、大病院で何年も実施し、毎日そのことだけをやっているプロです。なので、もっと私の言う事や体を信じて、安心して楽しく違うことに時間を使って生きてもらいたいなと思います。不安な事があれば、何回でも相談してくださいね。

 

医者と患者の信頼関係

2013年07月02日

質問;前回効いた薬を今回も出してほしいのですが?

答え; その薬が今回も本当に必要かどうか?様々なデータから必要がなさそうだと判断した場合は出さない事もあります。

 

質問; 大学病院の先生からはもっとたくさん処方してもらっているのですが?

答え; 当院は、自然治癒力の観点から、極力最小限の薬を厳選してお出ししています。医学的にも効果が高く、副作用のリスクより効能(メリット)が必要と判断した薬のみお勧めしております。

 

質問;信頼関係はどうして築けますか?

答え十二分に話し合うことだと思います。こちらも誠意をもって説明させていただきます。分かりづらい場合には何度でもご質問ください。自分の持っている常識と異なることを言われたときには特に話し合う時間が必要です。

 

質問;薬が少なくなることが不安です

答え;必要以上に薬をたくさん飲んでいる方が多いです。減らすことに対して「不安感」があると思いますが、「勇気」を持って自分の身体を信じて薬を減らしてみてください。当院ではどうしたら安心していただけるか、どうしたら最新の医学を伝えられるかを常に考えています。そして小さな医院だからこそ、一人ひとりきめ細かく対応できます。

 

院長のひとりごと

ある医者から出された薬が効かないからといって別の医者にかかる話はよくあります。でも「薬が効かなかった」ともう一度同じ医者に話すことで、医者は患者さんの体質や体調、お身体に相性の合う薬もわかります。そして患者さんの性格や希望を理解して、「信頼関係」という大きな絆ができていきます。これを大切にしたいですね。

 

 

高齢者の延命

2013年06月06日

質問;息も心臓も止まっています。人工呼吸、心臓マッサージをしますか?

答え;この問いに「ハイ」とお願いする場合は最近めったに見られません。無意味な延命行為と考える方が増えました。

 

質問;口から食べることが出来ません。胃に直接管(胃ろう)を入れて延命しますか?

答え;多くの方が迷うところです。胃に管をいれて栄養をそこから入れれば長生きができます。しかし・・これは延命行為では?自分の運命を自分で決められなくなります。

 

質問;水も飲まなくなりました。点滴して欲しいのですが?

答え;多くの方が迷うところです。点滴ぐらいしてほしいと…。しかしご自身の意志で点滴を希望されるというよりは家族が希望されることがほとんどです。これも延命行為では?

 

質問;口から食べることが出来なくなりましたが、僅かの水と栄養ですごさせたいのですが?

答え;結構です。老衰は徐々に食欲がなくなり眠るように最期を迎えます。こういう形がいちばん自然に近い、自分の身体と意志で自分の運命を決められるからです。

 

質問;ぴんぴんころりが理想なので、延命はしたくありません。

答え;延命はしたくないというのが一般的に多くの方希望しているようです。そのことを主治医にきちんと伝える事が必要です。

 

自分の意志で自分の事が出来なくなったら、おむつでは生きたくない、口から食べれなくなったら、生きたくない、と自分では思う反面、自分の親などに対しては少しでも長く生きてほしいと願う気持ち、よくある話です。長生きのための点滴、胃ろうからの栄養は自分では決められず、他人が決めなければいけない現実。こういう状態を延命行為だと私は思います。それが良いのか、よくないのかはその人の考え方しだいです。

我が家(住宅型有料老人ホーム)

2013年05月06日

質問;他の老人ホームとの違いはありますか?

答え;一般的に老人ホームに入居すると決まり事の中での生活が始まります。起床時間、食事、風呂、イベント、血圧、食事の量や内容や水分、排便尿量、風呂などが管理され、体調が悪くなると半強制的に入院となります。今まで食べたい物を食べたい時に食べていた自由な自宅での生活から一変します。そして一番危険なのは、このように受け身の生活が続くと、意欲や体力が低下してしまうという事です。ここ上田医院付属「我が家中国分」の特色は、なるべく自宅にいるときの生活を続けていただくよう配慮しています。

質問;一人では何も出来ないので管理してもらいたいのですが?

答え;まるきり人任せでは出来る事も出来なくなります。出来ることはなるべく自分の力でしていただだく、できない事はもちろんヘルパーがそっと支えます。

 

質問;食事については?

答え;特に病的に危険のない範囲で、自分が食べたいと思う物を、空腹を感じたときに、自分の力で食べる事がよいと考えています。

 

質問;癌を患っている場合も入れますか?

答え;我が家を終の棲家として考えています。お入りいただき安心して過ごせるように努めていきたいと考えています。(ホスピス機能)

 

我が家がオープンしてまだ1か月ですがすごい事が起きました。2年間、他の施設では全介助、意思の疎通ほぼ取れないと言われていた96歳の方が当ホームに来てから意思表示が出てきてついに「お腹すいた」と言い、自分の力で食事をしたのです。ご家族は「2年前のおばあちゃんに戻ったみたい」と感動。食べさせられるのではなく、食べたいから食べる。私も人間の本能の強さに感動しました。

 

心配だから検査する

2013年04月06日

質問;検査をする意味について教えてください。

答え;一つ目はスクリーニング検査といって一通り検査して何か異常が引っかかってこないかどうかを見る検査。二つ目は治療目的があってその変化をみる検査、または治療方針を決める検査など、筋道を決める目的のある検査です。

質問;90歳です。しりもちをつきました。腰が痛いので検査してください。

答え;この場合の検査は後者の、目的がある検査にはいります。しかし打撲でも骨折でも検査の結果によらず年齢から考えて手術せず、安静で治るのを待つという対処がよりよい選択です。治療方針が決まっている場合は検査をする必要性が少なくなります。

 

質問;結果が同じでも今後のために検査したほうがいいのでは?

答え;患者さんの、また家族の心配はわかりますが、検査するために使う疲労や苦痛を考えると、一刻も早く安静にするほうが得策と考えます。しかし場合によりますので、医者の専門的な見解も聞いていただければ幸いです。

 

我々も皆様が感じる「心配」と日夜格闘しています。当院では様々な知識、経験から判断し、積極的な検査はしておりませんが、必要性を感じたときは検査のお願いをしております。

 

研修医の頃、患者さんの状態が心配で毎日検査をしていました。ちょっとでもデータに異常があると、心配で。先輩の医者からデータばかり見ずに患者さんの自覚症状を聞く、身体にふれてそこから感じる診察能力、患者さん自身からでてくる雰囲気(重症感などの)を察知する能力の方が大切だと教えられ、実践し、少しずつ検査の頻度が減りました。データより五感を総動員した感じる能力の方が大切だと思いました。

 

 

老衰と食欲の関係

2013年03月23日

質問;老衰(ろうすい)(年をとると)食欲がなくなりますか?

答え;老衰とは歳をとり自然に衰えていく状態です。老衰すると若い時と異なり食べる量は減っていきます。「食欲がない」のはつまり、体が食事を欲さなくなるのです。

質問;食欲がないのは病気だと思っていました。病気でなくても食欲がなくなるのですか?

答え;もし胃の病気なら、食べると痛いとか、食べたいけど食べると吐く、という訴えになります。しかし、老衰してくると食欲がなくなるのは自然な事です。

 

質問;無理に食べさせると少しは元気になりますか?

答え;ある程度体力を維持できるかもしれません。しかし吐いて誤嚥して肺炎になる可能性が高まります。

 

質問;老衰となったら家族はどうすればよいですか?

答え;病気ではなく老衰のための食不振の場合に「がんばれ、食え」は本人にとって苦痛だと思います。残り少ない時を一緒に過ごし、思い出話などが出来れば素敵ですね。

去年の夏、あの暑い日々が続く中で、冷房なし、こたつで過ごした老女がいました。また冷房はすこしついているもののやはりこたつとはんてんで過ごしたおじいさんがいました。周りはいろいろ心配していましたがどこ吹く風で、みな今年も元気です。食事量はそのときそのときで変わりました。食べない日々が続く日もありましたが乗り切りました。少し食事量が減ると「点滴」「脱水」と騒がしいこの頃ですがあの方たちの生き様は立派に映りました。

風邪とインフルエンザ

2013年02月16日

質問;インフルエンザとはなんですか?

答え風邪のひとつで原因がインフルエンザウイルスだということです。

 

質問;怖いイメージがありますが?

答え;マスコミが作り上げたものです。10年以上前まではインフルエンザ診断のキットもなく、タミフルなどの薬もなかった時代にも毎年インフルエンザは流行っていましたが、特にインフルエンザの検査をすることも薬を飲むこともなく治っていました。

 

質問;脳症になったり、突然死したりするのが怖いです。

答え;脳症の原因は強い解熱剤を使った場合、もしくはタミフルなどの薬を使ったほうが確率は上がりますので当院では出来れば使いたくないです。

 

質問;タミフルなどを使うと早く治るのでは?

答え;そう宣伝されていますが実際は、熱が早めに下がる傾向になるみたいですが治ったわけではなくウイルスは体に残っていることが解りました。ですから学校などでは解熱後2日で登校可能だったのが発熱後5日経たないと登校できなくなりました。

 

質問;インフルエンザでもほっておけば治りますか?

答え;身体には自然治癒力があります。自力で治った場合は体に免疫が着くのでその後しばらくはかからなくなります。タミフルなどを使用した場合は体に免疫が着きにくいのでまたかかりやすくなります。

 

「ただの風邪ならいいがインフルエンザなら困る」逆に「インフルエンザなら嬉しい」などの奇妙な発言を聞くことが多くなりました。会社に行きたいのにインフルエンザだと出社できないとか。受験生などは再受験ができるからとインフルエンザの診断を求めてあちこち医療機関を回っています。あいた口がふさがらず診察していますがいまだインフルエンザにかかっていません。インフルエンザも風邪のひとつだと思うほうが社会は混乱しないと思います。

 

緩和ケア BSC(best supportive care, 最善の支持療法)

2013年01月12日

質問;BSC=「緩和ケア」とは治療の見込みがない人の医療ですよね?

答え;緩和ケアとは一般的に「痛みなどを緩和する(やわらげる)等、日常生活を快適に過ごすための治療」を言います。

 

質問;食べなくなったので心配です。なんとか食べさせる方法は?

答え;「食べない」のは「食べたくても食べることが出来ない」のではなく「体が少ない食事量しか欲しない、または食べる事を欲しない体になった」と理解すべきです。ご家族的には食べてほしいと願う気持ちは理解できます。「食え、食え」の声掛けは本人を苦しめます。最後の場をともに過ごす、手をにぎったり、マッサージしたり、昔話に花咲かせることの方が何倍もよい過ごし方です。

 

質問;点滴していただけますか?

答え;この時期の点滴には罪の方が大きいです。点滴の栄養は身体が受け付けないばかりか癌に取られます。水分は浮腫みとなって身体全身にたまっていき、体を苦しめます。

質問;脱水になるのでは?

答え;世間的には負のイメージですが、人間は自然な状態で過ごせば最後は必ず脱水(枯れていく)になります。脱水になると眠くなり、苦痛も軽減させます。より自然に逝くことができます。

―ホスピスケア学会から抜粋―

 


普段、美味しく食べ、寝て…、不快な所がない、なにげない生活が実はどんなに素晴らしいか。癌になると、治りたい一心で辛い治療を受けて癌と闘うための苦しい生活を始めます。でも、あまりに治療だけに固執してしまうと、残されたせっかくの素晴らしい日常生活を味わう余裕がなくなってしまう気がします。緩和ケアなども視野に入れた「快適な生活」が基本ではないでしょうか。


 

2012年12月号「かかりつけ医」

2012年12月24日

質問;高血圧は循環器科、慢性胃炎で消化器科と月にいくつかの専門医に通院しています

答え;ある病気の事に関して最良、最高の医療を提供してもらえる良いところがあります。しかし安定した後は定期的に診てもらう必要性は減ります。専門的な判断が必要な時に診てもらう事をお勧めします。

 

質問;最近、○○の症状がありますが、どこの科の先生に相談しても専門外だと言われてしまいました。

答え;自分の身体全体を把握して診てくれる、かかりつけ医にまず相談してください。薬の量、日常の体調、など総合的な判断より、必要に応じて最適な専門医を紹介いたします。

質問;かかりつけ医は、専門医でないので専門的なことがわからないかと不安です。

答え;しかし、いくつもの科から重複して薬が出ていることもよくあることです。やはり体の全てを把握している、かかりつけ医が必要でかかりつけ医がわかる範囲のことは、かかりつけ医で対処してもらいましょう。専門医への受診はかかりつけ医が判断するのが理想です。

質問;将来、通院出来なくなる時が来たらと心配です。

答え;元気なころから自分の身体をよく知っている、かかりつけ医に往診してもらうことが理想です。当院では、訪問診療、訪問看護が出来るので安心してください。長く最後までつきあえる、かかりつけ医がいると安心ですね。

当院では皆様のかかりつけ医、総合医をめざしております

 

院長のひとり言

元気なうちは皆さん自分の事は自分で決めていいのです。好きな専門病院を何個も掛け持ちしていいのです。しかし年齢とともに思考力、体力がなくなってきます。最後まで自分で決められる方は極めて少ないです。その時他人(体の事はかかりつけ医に任せる等)に任せられるか、これが重要です。自分で全部決めるということはかなりの覚悟がいります。

 

2012年11月号「血圧と自覚症状」

2012年11月24日

質問;血圧が上がると、なにか自覚症状がでますか?例えば「頭痛」「めまい」「肩こり」とか。

答え;基本的にはでません

 

質問;しかし「頭痛」「めまい」「肩こり」がひどいとき、血圧を測ると血圧がものすごく高くなっていて心配です。

答え;それは原因と結果が逆です。血圧が上がったから症状がでたのではなく、症状が出たため心配になりその結果血圧が上がるのです。

 

質問;自律神経ということですか?

答え;そうです。人は心配や不安になったり、喧嘩したり、怒ったり、これから土俵に上がるとき、ハンマ―を思い切り投げようとするとき自律神経を興奮させ(交感神経を興奮させ)その結果として血圧はあがります。血圧が上がるために怒ったり、不安になったりすることはないですよね。

 

質問;そういうときは血圧を下げる薬を使いますか?

答え;血圧のくすりよりも、まずは自分の気持ちの調節です。落ち着けば下がりますからご安心ください。

 

稀に血圧の上昇が脳の浮腫を引き起こし重度の頭痛を引き起こす高血圧緊急症という病態があります。めったにありません。

院長のひとり言

血圧手帳のグラフには血圧の正常値130/85?のところに太い線が引いてあります。患者さんの中には、この線をはみ出すことを異常に気にされる方がおります。この線をはみ出すと危ない、脳卒中になると。日頃活動的な方、心配性の方は上がりやすい傾向にあります。しかしお風呂に入ってゆったりした気持ちになったとき血圧が下がっていればまず安心です。そうそう脳卒中にはなりません。