心配だから検査する

2013年04月06日

質問;検査をする意味について教えてください。

答え;一つ目はスクリーニング検査といって一通り検査して何か異常が引っかかってこないかどうかを見る検査。二つ目は治療目的があってその変化をみる検査、または治療方針を決める検査など、筋道を決める目的のある検査です。

質問;90歳です。しりもちをつきました。腰が痛いので検査してください。

答え;この場合の検査は後者の、目的がある検査にはいります。しかし打撲でも骨折でも検査の結果によらず年齢から考えて手術せず、安静で治るのを待つという対処がよりよい選択です。治療方針が決まっている場合は検査をする必要性が少なくなります。

 

質問;結果が同じでも今後のために検査したほうがいいのでは?

答え;患者さんの、また家族の心配はわかりますが、検査するために使う疲労や苦痛を考えると、一刻も早く安静にするほうが得策と考えます。しかし場合によりますので、医者の専門的な見解も聞いていただければ幸いです。

 

我々も皆様が感じる「心配」と日夜格闘しています。当院では様々な知識、経験から判断し、積極的な検査はしておりませんが、必要性を感じたときは検査のお願いをしております。

 

研修医の頃、患者さんの状態が心配で毎日検査をしていました。ちょっとでもデータに異常があると、心配で。先輩の医者からデータばかり見ずに患者さんの自覚症状を聞く、身体にふれてそこから感じる診察能力、患者さん自身からでてくる雰囲気(重症感などの)を察知する能力の方が大切だと教えられ、実践し、少しずつ検査の頻度が減りました。データより五感を総動員した感じる能力の方が大切だと思いました。

 

 

老衰と食欲の関係

2013年03月23日

質問;老衰(ろうすい)(年をとると)食欲がなくなりますか?

答え;老衰とは歳をとり自然に衰えていく状態です。老衰すると若い時と異なり食べる量は減っていきます。「食欲がない」のはつまり、体が食事を欲さなくなるのです。

質問;食欲がないのは病気だと思っていました。病気でなくても食欲がなくなるのですか?

答え;もし胃の病気なら、食べると痛いとか、食べたいけど食べると吐く、という訴えになります。しかし、老衰してくると食欲がなくなるのは自然な事です。

 

質問;無理に食べさせると少しは元気になりますか?

答え;ある程度体力を維持できるかもしれません。しかし吐いて誤嚥して肺炎になる可能性が高まります。

 

質問;老衰となったら家族はどうすればよいですか?

答え;病気ではなく老衰のための食不振の場合に「がんばれ、食え」は本人にとって苦痛だと思います。残り少ない時を一緒に過ごし、思い出話などが出来れば素敵ですね。

去年の夏、あの暑い日々が続く中で、冷房なし、こたつで過ごした老女がいました。また冷房はすこしついているもののやはりこたつとはんてんで過ごしたおじいさんがいました。周りはいろいろ心配していましたがどこ吹く風で、みな今年も元気です。食事量はそのときそのときで変わりました。食べない日々が続く日もありましたが乗り切りました。少し食事量が減ると「点滴」「脱水」と騒がしいこの頃ですがあの方たちの生き様は立派に映りました。

風邪とインフルエンザ

2013年02月16日

質問;インフルエンザとはなんですか?

答え風邪のひとつで原因がインフルエンザウイルスだということです。

 

質問;怖いイメージがありますが?

答え;マスコミが作り上げたものです。10年以上前まではインフルエンザ診断のキットもなく、タミフルなどの薬もなかった時代にも毎年インフルエンザは流行っていましたが、特にインフルエンザの検査をすることも薬を飲むこともなく治っていました。

 

質問;脳症になったり、突然死したりするのが怖いです。

答え;脳症の原因は強い解熱剤を使った場合、もしくはタミフルなどの薬を使ったほうが確率は上がりますので当院では出来れば使いたくないです。

 

質問;タミフルなどを使うと早く治るのでは?

答え;そう宣伝されていますが実際は、熱が早めに下がる傾向になるみたいですが治ったわけではなくウイルスは体に残っていることが解りました。ですから学校などでは解熱後2日で登校可能だったのが発熱後5日経たないと登校できなくなりました。

 

質問;インフルエンザでもほっておけば治りますか?

答え;身体には自然治癒力があります。自力で治った場合は体に免疫が着くのでその後しばらくはかからなくなります。タミフルなどを使用した場合は体に免疫が着きにくいのでまたかかりやすくなります。

 

「ただの風邪ならいいがインフルエンザなら困る」逆に「インフルエンザなら嬉しい」などの奇妙な発言を聞くことが多くなりました。会社に行きたいのにインフルエンザだと出社できないとか。受験生などは再受験ができるからとインフルエンザの診断を求めてあちこち医療機関を回っています。あいた口がふさがらず診察していますがいまだインフルエンザにかかっていません。インフルエンザも風邪のひとつだと思うほうが社会は混乱しないと思います。

 

2012年7月号「認知症」

2012年07月24日

その1;こだわりが消える

その心は; 私は絶対に呆けたくない、寝たきりになりたくない、などのこだわりから解放され、「老い」を心配しなくなります。

 

その2一人でいても飽きない

その心は; 周囲に無関心になるので、自分の世界に入っていることが多くなります。一人で1日中忙しく誰かと会話したり、仕事したり、しかし逆に関心を引きたくていろんなことをしでかすことはあります。

その3苦痛が軽減される

その心は;認知症になると、体に対しての関心も薄くなり、痛み、不安などが軽減される傾向があります。そのことから通院しなくなり、薬も減るようになります。

 

その4笑顔が素敵になる

その心は;一昔前は「恍惚の人」などと言われたように、なにか憑き物が晴れたような、わだかまりが消えたような、現世の苦しみから解き放たれたような、そんな感じを受けたものです。たまにのぞかせる満点の笑顔に遭遇することでしょう。

 

認知症になると、なにもかもおしましだという風潮がありますが、見方をかえれば、老いの一部として受け入れ、上手に付き合っていけると思います。

 

院長のひとり言

自分の親、じいちゃん、ばあちゃんが辻褄の合わないことを言い出したら、誰もいないのにぶつぶつ言い出したら、「違うでしょ、こうでしょ」とか「誰もいないじゃないか」とかついつい説教しがちです。しかしその説教はむなしいかな、彼らには届きません。逆に叱られたという負の感情のみが残ります。「うん、そうだね」と静かに寄り添って、その場がなごむ雰囲気を作りたいものです。

 

2012年6月号「血圧」

2012年06月24日

質問;普段はそんなに高くないのにデイサービス等で入浴前に血圧を測ったら高いので入れられませんと言われました。

答え;入浴すれば体が落ち着いて気分がよくなり血圧は下がりますから安心して入って下さい。脱衣所が寒かったり、お湯が高かったりすれば急激な血圧上昇をきたすことはありますが…。

 

質問;いらいらしたり、緊張したり、不安な時、血圧を測ると高く出て心配です。

答え;血圧が高い事を心配する前に、いらいら、緊張、不安 等の精神状態を落ち着かせましょう。そうすれば自然と血圧は下がります。無理に薬等で下げる必要はありません。

 

質問;脳卒中が心配です。

答え;医学的に証明されている事は、「高血圧の状態が何年も続いている場合にある確率をもって脳卒中が発症する」ということです。例えば平均血圧が180以上で1年間に2.5人/100人中程度です。(久山町研究から) 一時的に高くなったからといってすぐに脳卒中になりそうで危ないというわけではありません。

 

質問;寝たきりになるのがいやです。

答え;驚くべき事に血圧の薬を飲んでも寝たきりを予防できないというデータがあります。(NIPPON 研究から)

 

院長のひとり言

血圧は老若問はず「135/85以下」にと教わりましたが、これが拡大解釈?され、この血圧を超えてはいけない一線、超えたらあかんぞ、と皆は思うようになりました。少しでも超えると脳卒中になるかも、と恐れるようになりました。実際は「高い血圧の状態のままで何年も過ごすと脳卒中になる確率が少し増えますよ」ということなのです。もう少しゆったり構える事が肝要かと思いますがいかが。