熱中症

2016年08月01日

質問;テレビでは熱中症にならないように水分を摂れと放映していますが、実際なかなか水分を取ってくれません・・。(家族の談)

答え;確かに水分補給は大切ですが、暑さ対策、風通しをよくする、室温を管理する、等のほうが大切です。

高齢者は基本的に、体の必要水分量は若い人より少ない、また汗をかき過ぎることは少ないので、ご家族が期待されるように水分を取らないのが一般的です。

 

質問;うちのおじいさんは(おばあさんでもよい)冷房を嫌います。

答え;冷房の冷気はかなり高齢者の深部に到達し不快を与えるようです。可能であれば直接冷気を当てないように、風は自然な風が理想です。

真夏なのにコタツに入っている方もいます。ちょっとビックリ。

 

質問;いわゆる熱中症の対策は?

答え;体温が38度以上になって、少し元気がないなと感じたら、保冷剤などをタオルに巻いてで首の後ろ、わきの下、太ももの付け根などを冷やす、水分補給(口から無理な場合は点滴)、そして換気(風通しを良くする)です。

 

質問;命に関わる状態の目安はなんですか?

答え;体温が高度に上がる(39度以上)、意識が薄れる(呼びかけても応じない)などです。意識がしっかりしていて、体温が37度台程度であれば大丈夫です。

 

我々はいつから自分の本能を信じなくなったのだろう? 今日は気温が上がるのでこまめに水分補給を、今日は寒いから一枚上着を着ろ、〇〇を食べろ、〇〇をするな、とか皆テレビやラジオの言う事を聞いて生活している感があります。もっともっと意志、暑い、寒い、不快など、自分の感覚や本能をもう少し大事にして生活したいものです。

健康について考察

2016年07月01日

質問;ためして○○、○○の健康、たけしの○○ などの健康番組を見た後、「自分の症状は●●病かもしれない」「もし○○病になったら大変だ」と不安になります

答え;365日毎日見たら365個の不安が発生し気が狂いそうになりますね。心配事はかかりつけ医に相談してください。信頼すべきは身近な医者のはずです。

質問;健康診断を毎年受けても不安です。半年に一度と増やしたほうが良いでしょうか?

答え;検診の回数を増やせば寿命が延びるというデータは残念ながらありません。健康診断は未来の予測にはならないです。今現時点が大丈夫という確認に過ぎないのです。

 

質問;健康食品やサプリは何を飲めば良いでしょうか?

答え;健康食品やサプリは医薬品としては「認められない効果の少ないまたは効果の不確かなもの」という定義です。宣伝文句を鵜呑みにしてそれさえ飲めば大丈夫というものは残念ながらないと思います。

質問;私の身体は健康(大丈夫)でしょうか?

答え;朝起きて、お腹が空いている。食事が美味しい。笑顔や幸福感などの日常生活が宜しければ健康です。100才までぴんぴんしていたいと思うあまり、病気におびえ、精神的にストレスを感じると逆効果です。健康は有難がるもので、追い求めるものではなさそうです

 

癌の末期の患者さんと接して感じることは、なににもまして「食べ物がおいしい」ということは素晴らしいということです。様々な慢性の病気をもっていても、この「美味しい」と感じられれば、まず健康だと言っていいと思います。

 

 

老衰(おいて衰える)ということ

2016年06月25日

その1:老衰してくると、食べても痩せてくる。そして食べる量が減ってくる。

 

質問;頑張って食べる努力をした方がよいですか?

答え;「頑張ってもらいたい」というご家族の気持ちは解りますが、無理やりは禁物です。身体が欲しなくなる状態とご理解ください。

 

その2:老衰してくると、昼夜の区別がつかなくなる。ぼんやりと過ごすようになる

質問;なにか刺激になることをさせた方がよいですか?

答え;現実から離れ旅立ちの準備期間であるとご理解ください。そのままの状態を認める勇気が必要かと・・・。

その3:老衰してくると、なかには辻褄の合わないこと言ったりする

質問どう対処すれば・・・・

答え;お別れの挨拶、感謝の気持ちなど、伝えたいことを伝えましょう。

 

老衰してくるといわゆる認知症と言われる状態に似てくることがあります。今しがたの記憶が消え、昔のことは非常によく覚えている。この世(日常生活)から離れ、旅立ちの段階に来ていると。過去を振り返って人生を総括している時期であると。逆に言うと認知症は老衰の過程であると言えますまいか。

 

家族の気持ちと一般的な施設の対応

2016年05月25日

家族;転んで骨折するのが心配です。

施設;転ばないように立とうとすると座らせるように指示します。ベッドにもセンサーをつけて動いたらすぐに飛んでいき動かないように指示します。騒ぐようなら更なる拘束をします。

本人;見張られず、いちいち支持されず、自由に好きな時に好きなように歩いたりしたいのに…

 

家族;きちんと栄養管理をしてください。病気があるし痩せるのも心配です。

施設;はい、病院で出てくるような味の薄い塩分調整した食事をきちんと完食するまで無理やり詰め込みます。

本人;もう年なのだから美味しいものを好きなだけ好きな時間に食べたい・・。

家族;徘徊が心配なので施設の玄関にオートロックをつけてくささい。

施設;外に出ないように拘束します。部屋から出ないようにも監視します。

本人:以前のように外出したい。一人で自由にしていたい。

 

我が家中国分ではできるだけ本人の気持ちを優先し、家族と話し合い、本人にストレスの少ない介護を目指していきたいと思います。

 

認知機能の落ちた高齢者への施設でのコール対応はどうするのか。「さみしいから」「ボタンを押すと人が来るから面白い(かどうかは不明であるが)」または理不尽と思える要求でボタンを押すこともある。全部受け身で対応することが良いとは限らない。本当は、コールに頼らないで済むような真のおもてなしの心(察する気持ち)が求められているのではと思います。難しい問題です。

 

認知症肯定論

2016年04月20日

その1;こだわりが消える。好きだった趣味に興味がなくなる。

その心は;「この世に未練はない」と言うための準備期間です。プラスに見ていきましょう。「今日は何日、何曜日か」などと覚える意味はうすいと思います。

 

その2一人でいても飽きない

その心は; 周囲に無関心になるので自分の世界に入って、1日中忙しく誰かと会話したり仕事してるつもりになったり空想していることが多くなります。しかし逆に関心を引きたくていろんな周囲を困らせるようなことをすることがあります。そこにはその方の不安と「理解してくれない」という孤独感があります。安心させてあげましょう。

その3過度な苦痛が軽減される

その心は;認知症になると、体に対しての過度の関心が薄くなり、痛み、不安などが軽減される傾向があります。そして「死」に対して自然な形での受容ができるようになるということです。

 

その4笑顔が素敵になる

その心は;一昔前は「恍惚の人」などと言われたように、なにか憑き物が取れたような、わだかまりが消えたような、現世の苦しみから解き放たれたような、そんな感じを受けます。たまにのぞかせる満点の笑顔に遭遇することでしょう。

 

頭の回転(認知力)と体の動きは比例関係にあるのが良い、と言うのが私の持論です。身体が元気で頭の回転が鈍ると徘徊や事故につながる。身体が衰えているのに頭の回転が良いと、うつや絶望へと導かれやすい。身体が鈍ってくるのと同様に頭も鈍っていくのが自然の摂理と言うものではないかと思うのです。

 

患者学(よりよい関係を目指して)

2016年03月20日

質問;風邪をひいたので風邪薬を下さい。

答え;よく耳にする発言です。しかし実は大きな問題があります。

 

質問;どうもよくわかりませんが・・・・?

答え;実は風邪ではなく、扁桃腺が腫れる扁桃腺炎であったり、だるいから風邪であると思っていたら重篤な病気が潜んでいたりするかもしれません。自己診断は危険です。

 

質問;ではどうすればよいのですか?

答え;まずはご自身の抱えている症状を詳しく伝えてください。例えば、熱がある、咳が出る、喉が痛い、だるい、鼻水がでる、下痢をしている、気持ち悪い、などなどです。

これらの症状から医師が適切に総合的に診断します。

発言;頭が痛いのでCT(MRI)検査をしてください。

答え;やはりよく耳にしますが問題です。患者さん自身が脳の疾患を疑って(診断して)検査が必要だと判断しています。頭痛の大半は頭の表面の痛みです。よく聞くと解りますので安心してください。無駄な検査をしなくて済むかもしれません。またCT検査には放射線の被爆から癌になる可能性があり極力避けたいと思います。

テレビやインターネットで調べるといろんな怖い病気がでてきます。すると不安、恐怖が増します・・。


昨今、インフルエンザの検査をしてほしいと医院を訪れる人が増えました。その元になっているのはインフルエンザに対する恐怖、不安な気持ちからだと思います。インフルにかかると薬を飲まないと治らないと思っている人もいるぐらいです。インフルエンザは風邪のひとつで基本的には自然に治癒するものであるという基本事項をしっかり頭に入れておればもう少しおおらかに過ごせると思いますがいかが。

医師の発言から読み解く本音

2016年02月04日

発言;とりあえずこの薬をだしておきますから・・飲んでみたら。

答え;現時点でどうしても必要とは思われないが、患者さんが薬を望んでいることが多いので、とりあえず 出しときますか・・・・・・という意味。必要は必ずしもないと思っている。

 

発言;なんでこんなになるまでほっておいた・・・

答え;もし前に診てもらっていた医師がいる場合には「あてつけ」。いない場合には、あまりに症状がひどいので「手に負えない」と思っている、何しろ治せないかもしれないので誰かのせいにしたいと思っているときの発言。

 

発言とりあえず検査をしましょう。

答え;この時期で診断がついていないので、何か検査で引っかかったらよいなと思っている。

発言;年のせいでしょ

答え;なかなか治らないので上手に病気と付き合っていってもらいた    いと思っている。以前はこの発言に世間は批判的であったが最近は容認されてきている気がする。

発言:あと3年もてば(寿命は?と聞かれたとき)

答え:特に根拠はない。1、2年だと短いし4年だと縁起が悪いし5年だと長い気がする。3という数字が心地よい・・その程度の根拠。

とりあえず、一応、飲んでおく薬(点滴を含めて)や検査って本当は必要がないかもしれない。もっとはっきり言うと、無駄なことが多い。そうは思いつつもお土産なしで帰すのもどうかと思って(こちらの利益にもなるし)していくうちに、いつの間にか患者さん側でもそれが当然やるべきものと勘違いしていく。これが無駄な医療が定着したいきさつだと思う。自信を持って必要ない薬や検査を止めていくことが必要だと思います。

 

 

終末期をどう過ごすかについて

2016年01月07日

質問;BSC=「緩和ケア」とは治療の見込みがない人の医療ですよね?

答え;緩和ケアとは一般的に「痛みなどを緩和する(やわらげる)等、日常生活を快適に過ごすための治療」を言います。

 

質問;食べなくなったので心配です。なんとか食べさせる方法は?

答え;「食べない」のは「食べたくても食べることが出来ない」のではなく「体が少ない食事量しか欲しない、または食べる事を欲しない体になった」と理解すべきです。ご家族的には食べてほしいと願う気持ちは理解できます。「食え、食え」の声掛けは本人を苦しめます。最後の場をともに過ごす、手をにぎったり、マッサージしたり、昔話に花咲かせることの方が何倍もよい過ごし方です。

 

質問;点滴していただけますか?

答え;この時期の点滴には罪の方が大きいです。点滴の栄養は身体が受け付けないばかりか癌に取られます。水分は浮腫みとなって身体全身にたまっていき、体を苦しめます。

質問;脱水になるのでは?

答え;世間的には負のイメージですが、人間は自然な状態で過ごせば最後は必ず脱水(枯れていく)になります。脱水になると眠くなり、苦痛も軽減させます。より自然に逝くことができます。

ホスピスケア学会から抜粋

 

五分五分の賭けに全財産(生活)をつぎ込む、と言ったら笑われるのがおちです。ところが癌治療となるとそうはいきません。残された時間や貴重な財産をかけ、社会生活を投げうって、治療に専念し闘病生活を始めます。完全復活を願って人生の賭けに出ます。でも癌を完治する治療法はいまだに確立されていません。そんな時は緩和ケアという治療方法を選択することも1つの生き方だと思います。

 

 

肺炎(球菌)ワクチンについて

2015年12月07日

質問;肺炎ワクチンについて教えてください。

答え;「肺炎ワクチン」はテレビで盛んに騒がれていますが正式には「肺炎球菌ワクチン」といいます。肺炎球菌の予防のワクチンです。

 

質問;ワクチンで肺炎を予防したいのですが

答え;肺炎になる菌はいっぱいあります。例えば肺炎桿菌、ブランハメラ菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌・・・。その中のたった一つの菌のワクチンです。ですからこのワクチンを打っても他の菌の肺炎にはなる可能性はあります。

 

質問;死因の第3番目だと言っていますが?

答え;年とって入院して肺炎で亡くなった、とよく聞きます。実は入院中に起こる肺炎の大部分は誤嚥性肺炎の可能性が高いです。これは食物残渣が気管から肺に入って起こる肺炎です。残念ながらワクチンは無効です。

入院中に起こる肺炎の原因菌が肺炎球菌であることはまれです。また肺炎疑いで検査(喀痰)をして肺炎球菌が検出されることは非常にまれで全体の2%程度とのことです。非常に少ないです。

65歳から70歳の方へ。肺炎で入院したことがある人はいますか?おそらくほとんどの人はないと思います。昔は炭坑などで働く人たちが、過労から肺炎になることはあったかもしれないが、今は衛生環境よし、風邪ひいてもすぐに休める環境であれば肺炎にはなりません。

ほとんど罹らない肺炎の予防に意味はあるのか僕には疑問です。

 

インフルエンザについて

2015年11月07日

質問;インフルエンザとはなんですか?

答え風邪のひとつで原因がインフルエンザウイルスだということです。呼吸器を侵すため肺炎になることがあります。

 

質問;脳症になったり、突然死したりするのが怖いです。

答え;脳症の原因は強い解熱剤を使った場合、もしくはタミフルなどの薬を使ったほうが確率は上がりますので当院では出来れば使いたくないです。突然死も薬害の可能性が高いです。

 

質問;タミフルなどを使うと早く治るのでは?

答え;そう宣伝されていますが実際は、熱が早めに下がる傾向になるみたいですが治ったわけではなく、ウイルスは体に残っていることが解りました。ですから学校などでは解熱後2日で登校可能だったのが発熱後5日経たないと登校できなくなりました。

 

質問;インフルエンザでもほっておけば治りますか?

答え;身体には自然治癒力があります。自力で治った場合は体に免疫が着くのでその後しばらくはかからなくなります。タミフルなどを使用した場合は体に免疫が付き難くなるのでまたかかりやすくなります。

 

質問;ワクチンは効きますか?

答え;残念ながら今のところ重症化を防ぐと言う根拠は乏しいです。

インフルエンザと診断されると学校にも、会社にも5日は来るなと言われる時代となりました。冬場に熱が出たらほぼインフルエンザと考えてよさそうです。薬を使っても早く治る(ウイルスが消失する)わけではないので、5日間、神様がくれた休養日だと思って、薬の代わりに美味しいものを食べてゆっくり寝て過ごす方が賢明かなと思います。