現在の思想から見える終末期

2017年02月08日

発言;早期発見早期治療を重んじています。小さい変化を見つけ早く治療し解決したい。

答え;この考えの行き着く先は過度な検査と、その検査結果に対する不安感にとりつかれ、日々の生活の充実感を見失いやすくなることです。終末期までこの考えが強いと自宅で安心して過ごせなくなる可能性が高いです。人生でもっと大事な事は、ごはんが美味しいとか楽しい一日だったとか、やりたいことがあるとかそんなことですよね。

 

発言;何か(死んでしまうような危険なこと)あったら心配です。

答え万人の心配事です。がしかしこの気持ちが強すぎる場合どうなるか? 精神安定剤を多用するようになります。病気に対する過度な不安は百害あって一利なしです。

 

発言;遺言として「もう治療の望みがない場合の延命は希望しません」

と書きました。「無理な延命を望みません」

答え;延命と一言に言っても引き際がとても難しいです。点滴でさえ延命になる場合が多々あります。体が死に向かい始めると全ての無理な延命は本人にとって苦痛だと言われています。本人が楽に安心して過ごせるような医療が良いと思います。

発言;住み慣れた自宅での看取りを希望します。

答え;当院にお任せください。痛みや不安なく、自宅で残された時間を有意義に過ごしていただけるよう支えて行きます。ノウハウは直接聞いてくださいね。

 

浅草生まれの熊さん。自称技術屋。昔でいう職人。食欲が低下してきたので検査したところ直腸がんの末期状態と診断された。ベッドで寝たきり、点滴治療していたが、引きちぎって強制退院となった。自宅に伺うと「俺はどこも悪くねえよ」と煙草をふかしながらゆったり・・・。トイレ歩行は奥様の介助、食事は水物を少量。ベッドに電気毛布でくるまれ「最新式の炬燵だ」と満足顔。粋な人だなあと感心しきりです。

 

賢い 患者学 医者に言ってはいけない発言集

2017年01月05日

発言;風邪なので風邪薬を下さい。

答え;風邪は一応診断名です。診断をつけるのは医者の仕事です。医者の仕事を奪う発言です。具体的な症状、例えば「喉が痛い」とか「熱がでた」を言いましょう。

 

発言;診察はいらないから薬だけ下さい。

答え医療機関から出る薬は医師の診察を受けなければもらえません。

 

発言;湿布を多く下さい。あちこちに貼りたいので・・。

答え;湿布薬も、れっきとした医薬品です。医師に指示された用法、用量を守りましょう。自分でいろんな所に貼りたい場合は薬局で買いましょう。

 

発言;頭が痛いのでMRI検査をしてください。

答え;検査をする、しないの判断は医師の仕事です。どうしても検査をしてほしい場合には心配をアピールしてください。「先生、脳に何かできていたら心配です」など。「まあしょうがないな」となるか「それぐらいの症状で検査はする必要はない」となるかはそれこそ医師の判断ですが。

 

発言;しろうと診断ですが僕は○○病ではないですか?

答え;「○○病だったら心配です」と言ってください。

 

お客様が神様となり、患者さんが患者様となり、そして患者様がお客様になると、患者様が神様となります。インターネットなどが普及し、情報が溢れ、患者様が知識を身に着けるとどうなるか・・・神様の言う通り(にせよ)という無言の圧量が増します。医師も勉強しなければいけないのは当然ですが、医師には経験があります。経験から学ぶことは重要です。医師の経験から出てくる言葉が信用を勝ち得るように頑張りたいものです。

 

 

 

強毒性インフルエンザの対応

2016年10月05日

質問;もし強毒性のインフルエンザが流行した時はどうなりますか?

答え;通常のインフルエンザの対応と変わります。

その1:かかりつけ医、病院には行ってはいけない!

その2;発熱者は「特設の発熱外来」に行く!

その3;外出は基本的には禁止となる

 

質問;発熱外来ではどこまでしてくれますか?

答え;防護服に身をまとった医師が鼻に綿棒を入れ、陽性が出た場合は抗インフルエンザ薬(お勧めはしませんが)を処方されることになるでしょう。

 

質問;陰性だったらまた並び直しをしたほうがよいですか?

答え;おそらく待合は隔離されていないので陰性の人は陽性のひとから感染する恐れがでますのでお勧めはできません。

 

質問;陽性の場合どうなりますか?

答え;重症者は入院します。それ以外は自宅で過ごし外出に制限がかかります。一人暮らしの人は自力で、家族がいる方は家族に看病してもらいます。その場合家族内での感染も懸念されます。ウイルスとの闘いは基本的に自分の免疫との闘いで、今の所、特効薬では重症化を防げません。栄養状態、衛生状態がよい環境で自然治癒を待つしかないと思います。

 

※強毒インフルエンザとは現在のインフルエンザよりはるかに強毒で、日本にはまだ強毒インフルエンザは上陸していません。

まず起きないとは思いますが。強毒性のインフルエンザが流行した場合、普段流行るインフルエンザとの対応とは全く異なる対応を取るよう医療機関は指示されています。「かかりつけの医院や病院には来るな。専門の発熱外来に検査に行け(ただし感染のリスク大)。他人にウイルスを蔓延させないために外出はするな。」となります。インフルエンザと思ったらすぐ来なさい!と言っておきながら強毒性の時こそ不安なのにその時は来るな!だとなんか矛盾を感じますね。

 

患者学(よりよい関係を目指して)

2016年03月20日

質問;風邪をひいたので風邪薬を下さい。

答え;よく耳にする発言です。しかし実は大きな問題があります。

 

質問;どうもよくわかりませんが・・・・?

答え;実は風邪ではなく、扁桃腺が腫れる扁桃腺炎であったり、だるいから風邪であると思っていたら重篤な病気が潜んでいたりするかもしれません。自己診断は危険です。

 

質問;ではどうすればよいのですか?

答え;まずはご自身の抱えている症状を詳しく伝えてください。例えば、熱がある、咳が出る、喉が痛い、だるい、鼻水がでる、下痢をしている、気持ち悪い、などなどです。

これらの症状から医師が適切に総合的に診断します。

発言;頭が痛いのでCT(MRI)検査をしてください。

答え;やはりよく耳にしますが問題です。患者さん自身が脳の疾患を疑って(診断して)検査が必要だと判断しています。頭痛の大半は頭の表面の痛みです。よく聞くと解りますので安心してください。無駄な検査をしなくて済むかもしれません。またCT検査には放射線の被爆から癌になる可能性があり極力避けたいと思います。

テレビやインターネットで調べるといろんな怖い病気がでてきます。すると不安、恐怖が増します・・。


昨今、インフルエンザの検査をしてほしいと医院を訪れる人が増えました。その元になっているのはインフルエンザに対する恐怖、不安な気持ちからだと思います。インフルにかかると薬を飲まないと治らないと思っている人もいるぐらいです。インフルエンザは風邪のひとつで基本的には自然に治癒するものであるという基本事項をしっかり頭に入れておればもう少しおおらかに過ごせると思いますがいかが。

医師の発言から読み解く本音

2016年02月04日

発言;とりあえずこの薬をだしておきますから・・飲んでみたら。

答え;現時点でどうしても必要とは思われないが、患者さんが薬を望んでいることが多いので、とりあえず 出しときますか・・・・・・という意味。必要は必ずしもないと思っている。

 

発言;なんでこんなになるまでほっておいた・・・

答え;もし前に診てもらっていた医師がいる場合には「あてつけ」。いない場合には、あまりに症状がひどいので「手に負えない」と思っている、何しろ治せないかもしれないので誰かのせいにしたいと思っているときの発言。

 

発言とりあえず検査をしましょう。

答え;この時期で診断がついていないので、何か検査で引っかかったらよいなと思っている。

発言;年のせいでしょ

答え;なかなか治らないので上手に病気と付き合っていってもらいた    いと思っている。以前はこの発言に世間は批判的であったが最近は容認されてきている気がする。

発言:あと3年もてば(寿命は?と聞かれたとき)

答え:特に根拠はない。1、2年だと短いし4年だと縁起が悪いし5年だと長い気がする。3という数字が心地よい・・その程度の根拠。

とりあえず、一応、飲んでおく薬(点滴を含めて)や検査って本当は必要がないかもしれない。もっとはっきり言うと、無駄なことが多い。そうは思いつつもお土産なしで帰すのもどうかと思って(こちらの利益にもなるし)していくうちに、いつの間にか患者さん側でもそれが当然やるべきものと勘違いしていく。これが無駄な医療が定着したいきさつだと思う。自信を持って必要ない薬や検査を止めていくことが必要だと思います。

 

 

終末期をどう過ごすかについて

2016年01月07日

質問;BSC=「緩和ケア」とは治療の見込みがない人の医療ですよね?

答え;緩和ケアとは一般的に「痛みなどを緩和する(やわらげる)等、日常生活を快適に過ごすための治療」を言います。

 

質問;食べなくなったので心配です。なんとか食べさせる方法は?

答え;「食べない」のは「食べたくても食べることが出来ない」のではなく「体が少ない食事量しか欲しない、または食べる事を欲しない体になった」と理解すべきです。ご家族的には食べてほしいと願う気持ちは理解できます。「食え、食え」の声掛けは本人を苦しめます。最後の場をともに過ごす、手をにぎったり、マッサージしたり、昔話に花咲かせることの方が何倍もよい過ごし方です。

 

質問;点滴していただけますか?

答え;この時期の点滴には罪の方が大きいです。点滴の栄養は身体が受け付けないばかりか癌に取られます。水分は浮腫みとなって身体全身にたまっていき、体を苦しめます。

質問;脱水になるのでは?

答え;世間的には負のイメージですが、人間は自然な状態で過ごせば最後は必ず脱水(枯れていく)になります。脱水になると眠くなり、苦痛も軽減させます。より自然に逝くことができます。

ホスピスケア学会から抜粋

 

五分五分の賭けに全財産(生活)をつぎ込む、と言ったら笑われるのがおちです。ところが癌治療となるとそうはいきません。残された時間や貴重な財産をかけ、社会生活を投げうって、治療に専念し闘病生活を始めます。完全復活を願って人生の賭けに出ます。でも癌を完治する治療法はいまだに確立されていません。そんな時は緩和ケアという治療方法を選択することも1つの生き方だと思います。

 

 

老衰について

2015年10月17日

質問;老衰してくると起こる現象について教えてください。

答え
①1日なにもしないで過ごせるようになる。つまり日常の活動量が減る。
②痩せてくる。食事をしっかり摂っていても痩せてくる。少ない食事で過ごせるようになる。
③現実世界から離れていく。周囲に無関心になるためにうすらぼんやりした雰囲気となる。
④不要なものが出て行く。特に終末期には多量の尿、便が出る。高熱を出すこともある。エネルギーを使い尽くして逝くのだと思う。


質問;老衰は病気ですか?

答え;違います。

 

質問;ほとんどの人は病気で死ぬのではないですか? 肺炎とか心不全とか・・。

答え; 老衰状態の人に過度の医療行為を施した場合にはかえって病気を併発します、例えば無理やり食べさせると誤嚥をし、その結果肺炎となります。点滴をすれば心臓に負担がかかり心不全をおこします。

 

※老衰期が明らかになってきたら過度な医療行為は慎んだほうが楽に過ごせます。

 

僕が死亡診断書に死因を書くとき、いつも気にかけていることがある。それは自分の人生を全うした人たちに尊敬の念をもって「老衰」と診断することだ。癌などの病気が前面に出てきた人に○○癌と書くことは多数あるが、心の中ではいつも「老衰」ですよと思っている。
命には必ず寿命があり寿命を超えて生き続ける事は出来ない。「老衰」は最期まで寿命をやり遂げた「勲章」だ。そして家族にもそう伝えている。「老衰の人と同じような経過でした」と・・・

 

専門医とかかりつけ医

2015年09月13日

質問;高血圧は循環器科、慢性胃炎で消化器科と月にいくつかの専門医に通院しています

答え;ある病気の事に関して最良、最高の医療を提供してもらえる良いところがあります。しかし安定した後は定期的に診てもらう必要性は減ります。専門的な判断が必要な時に診てもらう事をお勧めします。

 

質問;最近、〇〇の症状がありますが、どこの科の先生に相談しても専門外だと言われてしまいました。

答え;自分の身体全体を把握して診てくれる、かかりつけ医にまず相談してください。薬の量、日常の体調、など総合的な判断より、必要に応じて最適な専門医を紹介いたします。

 

質問;かかりつけ医は、専門医でないので専門的なことがわからないかと不安です。

答え;しかし、いくつもの科から重複して薬が出ていることもよくあることです。やはり体の全てを把握している、かかりつけ医が必要でかかりつけ医がわかる範囲のことは、かかりつけ医で対処してもらいましょう。専門医への受診はかかりつけ医が判断するのが理想です。

 

質問;将来、通院出来なくなる時が来たらと心配です。

答え;元気なころから自分の身体をよく知っている、かかりつけ医に往診してもらうことが理想です。当院では、訪問診療、訪問看護が出来るので安心してください。長く最後までつきあえる、かかりつけ医がいると安心ですね。

当院では皆様のかかりつけ医、総合医をめざしております

 

89歳の女性の患者さん。健康診断で肝臓に少し異常が見つかり専門医に通院。その後毎月通院し、定期的に採血検査や超音波検査をした。そして4年間通院し今年、無事終了。理由は特にすることもなく年齢的にも通院が大変になるだろうから。しかしこの4年間の通院の意味は何だったのだろう。4年前から「することは特にないので、症状が出たら来て下さい」と言って欲しかった。無駄と言う言葉が頭に浮かびました。

 

医者と患者の信頼関係

2015年08月13日

質問;前回効いた薬を今回も出してほしいのですが?

答え; その薬が今回も本当に必要かどうか? 様々なデータから必要があるか再度検討し、必要なさそうだと判断した場合は出さない事もあります。

 

質問; 大学病院の先生からはもっとたくさん処方してもらっているのですが?

答え; 当院は、自然治癒力の観点から、極力最小限の薬を厳選してお出ししています。医学的にも効果が高く、副作用のリスクより効能(メリット)が必要と判断した薬のみお勧めしております。

質問;信頼関係はどうして築けますか?

答え十二分に話し合うことだと思います。こちらも誠意をもって説明させていただきます。分かりづらい場合には何度でもご質問ください。自分の持っている常識と異なることを言われたときには特に話し合う時間が必要です。

 

質問;薬が少なくなることが不安です

答え;必要以上に薬をたくさん飲んでいる方が多いです。減らすことに対して「不安感」があると思いますが、「勇気」を持って自分の身体を信じて薬を減らしてみてください。当院ではどうしたら安心していただけるか、どうしたら最新の医学を伝えられるかを常に考えています。そして小さな医院だからこそ、一人ひとりきめ細かく対応できます。

 

身体に僅かの変調をきたしたときに感じるもの、それは「不安感」。このまま大病につながるのではないかという。ネットで調べるといろんな病気の前兆の気がしてくる。そして病院に駆け込み「検査してくれ」「薬をくれ」と心配で張り裂けそうな声で話す。「大丈夫ですね。その症状では大病にはつながりませんよ」の一言で症状が消えてしまうか、軽くなってしまう事があります。「病は気から」と、先人は偉大です。

 

 

血圧について

2015年07月06日

質問;いったい血圧ってなんですか?

答え;血圧とは「心臓の力」と「血管の硬さ」の掛けたものです。簡単に言えば生命の「馬力」です。

 

質問;血圧を測るといつも値が変わるので心配です。

答え;血圧は常に変化します。怒ったり、緊張したりすれば上がるし風呂上りにリラックスすれば下がります。寝る前、睡眠中、朝方は低めです。また血圧を続けて測るとだんだん下がってくるのが普通です。

 

質問;病院で測ってもらって高いと言われ、すぐ薬を出されました。

答え;病院で測ると高めに出ます。そういう方は自宅で必ず血圧を測り直して下さい。家で測って低ければ薬を飲む必要はありません。

 

質問;頭痛、めまいがして血圧を測ったら高かったのです。血圧のせいですか?

答え;高血圧から頭痛やめまいをおこすことはありません。頭痛、めまいがしたために心配になって血圧が上がったのです。

 

質問;どういう状態が危ないのですか?

血圧の高い状態がずうっと続くことです。場合によっては血管が詰まったり、切れたりします。1日中高い場合は薬が必要です。しかし普段正常な方が急に上がっても大丈夫です。

 

血管が切れたり、詰ったりしないように血圧を上げないための生活スタイルとは。感情の起伏をつけない、のんべんだらりと生きる。怒らない。頭から湯気が立ち、血管が切れてしまうから。過度の運動は血圧が上がるのでやめる。スポーツ中は血圧が上がるので危ない?血管の詰らないそんな生活は詰らないとは思いませんか。多少血圧が上がっても、リラックスをして体の興奮を鎮めれば血圧は下がります。メリハリの利いた生活をしていきたいですね。