がん放置療法から見えてきたこと

2013年06月13日

近藤誠先生(慶応大学医学部放射線科講師)の「がん放置療法から見えてきたこと」という講義を日本赤十字看護大学で聞いてきました。

手術や抗がん剤の積極的な治療に対して、放射線や鎮痛剤などの身体に負担の少ない温存療法という手法があります。温存療法をざっくり「放置療法」と言っているようでした。

講義の中で印象的だったのは、

①がんには本物の「がん」と転移せず心配のない「がんもどき」がある

②がん検診はする必要がない。(本物のがんなら、検査で発見した時点ですでに、検査ではわからない小さながん細胞が転移しているはず)

③がんもどきは「治療の必要はない」本物のがんなら「治療しても無駄」

結論:がんは検査をしないほうが良い!症状が出てきたら病院に行って、温存療法を含む緩和ケア!

詳細は近藤誠先生の単行本「がん放置療法のすすめ」を参考にしてくださいね

 

※緩和ケアとは、

  • 痛みやその他の苦痛な症状から解放する。
  • 生命(人生)を尊重し、死ぬことをごく自然な過程であると認める。
  • 死を早めたり、引き延ばしたりしない。
  • 患者のためにケアの心理的、霊的側面を統合する。
  • 死を迎えるまで患者が人生をできる限り積極的に生きてゆけるように支える
  • 患者の家族が、患者が病気のさなかや死別後に、生活に適応できるように支える
  • 患者と家族のニーズを満たすためにチームアプローチを適用し、必要とあらば死別後の家族らのカウンセリングも行う。
  • QOL(人生の質、生活の質)を高めて、病気の過程に良い影響を与える。
  • 病気の早い段階にも適用する。延命を目指すそのほかの治療(例えば化学療法放射線療法など)を行っている段階でも、それに加えて行ってよいものである。臨床上の様々な困難をより深く理解し管理するために必要な調査を含んでいる。

 

質か量か

2013年06月06日

病院で点滴だけで8か月長生きした方がいました。

自宅に居たら一か月だったかなと。

しかし奥さんと過ごせた時期は1か月減りました。

 

病院では無理な事

2013年05月12日

上田医院は市川市にある在宅支援診療所です。ここでは、在宅での看取りをしています。最後を白い病室でなく、住み慣れた自宅でと思う方の支援をしています。

慢性呼吸不全(肺病)で、経口接収不可能(口から食べれない)と判断され、経鼻胃管(鼻から胃まで管を通し栄養を入れる方法)で「最後は自宅で」と入院先から帰宅してきました。経鼻胃管を嫌がるので病室では手にミトンをはめられ管を抜かないように抑制されていました。

そこで、まず自宅では思い切ってミトンと経鼻胃管をはずしました。そしてゆっくりと口から食べるよう指導していきました。久しぶりの「食べ物」を嬉しそうに、幸せそうに味わっていました。そこから生きる力も湧いてきて会話も出来るようにまでなりました。ご家族は、入院してた時には想像できなかった姿だと感動してくれました。

退院して1か月、余命通り他界しましたが、最期に自宅で人間らしく、自分らしく過ごした時間はこれからも残されたご家族にとって素敵な思い出として残ると思います。

ご冥福をお祈りいたします。

老人ホーム「我が家」での過ごし方

2013年04月15日

4/8~入居が始まり1週間が経ちました

ここの(市川市 上田医院 付属)有料老人ホーム「我が家 中国分」に来るまで、車いすで移動してた方は、お1人で行きたいところへ行けず、ヘルパーさんに移動してもらってました。そこで早速「いざりばい」をリハビリスタッフと練習しました。まだ部屋まで30分位かかりますが、ご自分で移動できるという素晴らしい自由を思い出してくれたと思います。

認知症がひどく食べ物や空腹の認識がなく自力での食事摂取は無理。食事介助必要。という前情報の方も、医師の指導の下、適度な空腹感より、手を口に持っていく動作が見られてきました。無意識に食べさせられる事より、お腹が空いたから食べる、食べる幸せを思い出してほしいです。

支持が全く入らない、嚥下機能低下で食事全介助の前情報の方も、看護師が食事内容を見直し、ゆっくり食べる、ゆっくり話を聞くことで、何が食べたいか言えるようになり、さらにご自分の手で食べる事を練習できています。次は「なす」次は「ごはん」と意志表示をする。それをご自分で食べる。これは会話なく食べさせられてしまうのとは全く違います。


ご本人様のペースでゆっくりと自由に自分で出来る事をして生きていただく。

老人ホーム「我が家中国分」のスタッフが出来る事は、そっと傍で見守ること。

ご本人様の出来る事を奪ってしまわないように、意思、意欲、自立、を大切に、でしゃばらず、やりすぎず、受容の心で寄り添っていきたいと思っています。頑張りま~す!

有料老人ホーム 我が家中国分 竣工式

2013年04月06日

平成25年4月5日 無事 竣工式 が終了しました。

7年前、夫婦二人で始めたちっぽけな往診だけの上田医院は、診療所を持ち、訪問看護やケアプランを始め、続いてデイケア、そして、今春、平成25年、デイサービス、福祉用具、ヘルパー、有料老人ホームを運営するまでに成長しました。なんと7年で従業員は2人から、約70人位になりました。


これも全て上田医院を応援し、支えてくれた皆様のお蔭です。ありがとうございます。

ますます、責任を感じ、地域のお役に立てるように、スタッフ一同心を一つに頑張りたいと思います。今後も引き続きご支援、よろしくお願いいたします!!

 

市川市長 大久保 博様を初め、社会福祉協議会会長 伊与久美子様、県議会議員 水野文也先生、坂下しげき先生、市議会議員 寒川一郎先生、越川雅史先生、前市議会議員 石原みさ子様、市川市自治会連合協議会副会長 人見孝男様

各関係者 千葉銀行船橋支店執行役員支店長 鈴木昌広様、平山建設代表取締役 平山秀樹様、アーバンアーキテック 安斉慎一様、株式会社友愛ハウジング 代表取締役会長 上野勝幸様、株式会社デザインスタジオ・スピン 代表取締役社長 小市泰弘様 他

お忙しい中、竣工式にご参加いただき、ありがとうございました。

 

いきいきと生きてほしい

2013年03月23日

一日でも長く生きてほしい と いきいきと生きてほしい ではどちらも同じようで、かなり違う気がします。

 

1日でも長く生きてほしい と望む家族は、例えば「毎日3食1400Cal、塩分調整でお願いします。」 と言います。

いきいきと生きてほしい と望む家族は、例えば「おはぎが好きなんです」と言います。

 

1日でも長く生きてほしい と望む家族は、例えば「転ぶから目を離さないでください」と言います。

いきいきと生きてほしい と望む家族は、例えば「よたよただけどお散歩が好きなんです」と言います。

 

どちらもとても家族への愛情がありますが、上田医院の作る有料老人ホーム「我が家中国分」は、いきいきと生きてほしいと願う家族のために作りました。

ご理解、ご協力、お願いいたします。

 

有料老人ホーム 我が家 中国分

2013年02月16日

上田医院から徒歩3分の場所に作っている有料老人ホーム「我が家 中国分」が完成してきました。

この我が家のデザインは中国分出身のリッツカールトンなどの5スターホテルのデザイナーで、世界的に有名な小市氏が協力してくれました。

森に囲まれた静かでぬくもりを感じるリビングは、池の水に癒され、夜になると水面を揺らすライトで幻想的な時を過ごしていただけるような空間になるよう作っていただきました。

平成25年4月5日(金)PM14:00~・6日(土)AM10:00~・7日(日)AM10:00~ は内覧会です。

ぜひ見に来てくださいね!

 

小市氏の会社「デザインスタジオ スピン」 http://www.ds-spin.com/

 

 

病は気から

2013年02月05日

市川市で在宅で過ごしているガン末期の方をたくさん診させていただいています。

 

先日、乳がんの末期の患者様がご自宅で他界されました。

一人暮らしの生保50代独身女性の方でした。一般的には、乳がん末期と診断されると、激しく落ち込み、私たちは精神的ケアに一番時間を使うのですが、この方は幸い精神疾患もあり、癌であることも病院に行くことも薬を飲むこともすぐ忘れてしまうのです。そして朝からお友達を呼んでお酒を飲んで楽しくやっているような方でした。電話もないので約束の時間に訪問したらいなかったりと、いろいろ困らせてもくれました。(笑)

だからだと思います。医者から宣告された余命も関係なく生き、泣くこともなくおもしろおかしく周りをなごませ、改めて気持ち次第ではこんな癌末期の生活も可能なんだなと「気持ちと身体」の関係を考えさせられました。そしてある日、訪問したら息をしていませんでした。

5年近く訪問していたので、淋しくなりますが、思い出すと心が温かくなるような、そんな生き様を見せてくれました。ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

雪かき

2013年01月15日


昨日は大雪でした。

朝、いつも通り出勤すると、すでにたくさんのスタッフが自主的に早く来て雪かきをしていました。

上田医院に来院してくれる方のために、訪問に出かけるために。

どんなに雪で道路状況が悪くても、行かなければならない利用者さんが待っています。

朝カンファは青空カンファで済ませ、スタッフは自転車やバイクや車で、そろそろとそれぞれ出動していきました。

頑張って皆様の所へなんとか行きますので、遅れてしまう場合もあると思いますが、待っててくださいね!



上田医院の考える老人ホーム

2013年01月12日

上田医院がここ市川市中国分にOPENする有料老人ホーム「我が家 中国分」は、上田院長の考える医療の在り方、生命力の素晴らしさ、院長やスタッフが、数多くの看取りを経験し、感じた大切なことを形にしたホームにしたいと思っています。

恵まれた環境を生かした自然の中で、ゆっくりとした自分の時間を、自分の意志で過ごしていただくことで、生きている幸せを感じていただけたらと思います。一人では生活できないけれど、出来る事はあるはずです。そして、役に立つことも、人に感謝されることも、必ずあるはずです。それらは生きる意欲としては大切な要素です。

「我が家 中国分」はお1人では生活出来ない方が集まって、共同生活をしていただきます。人間らしいふれあいや、ぶつかりあい、そして気遣いや感謝を、嬉しかったり、腹立たしかったりしながら、お互いに少しずつ許し合って、譲り合って、笑って過ごしていけるような、居心地のいい自分の場所がしっかりとある「我が家」にしていきたいです。

頑張ります!